こんにちは!Pleasure Support株式会社 学生スタッフの赤星と申します。
この度、岸和田高等学校にて課題研究(探究)学習を担当されている 疋田眞子先生 にお話を伺いました。
本記事を通して、高校における探究・課題研究のリアルや、その背景にある先生の想いを感じていただければ幸いです。

■ 現在の探究活動について
疋田先生が担当されているのは、「課題研究(≒探究学習)」と呼ばれる取り組みです。
生徒は1年生の段階でテーマを決め、2年生で本格的に研究を進め、最終的には論文としてまとめます。
入学後すぐに、生徒は
「数理・自然」「情報・芸術」「地域・健康」「社会・異文化」「人文・人間」
という5つの学域の中から一つを選択します。大学でいう「学部のイメージ」です。
以前は、文理選択のタイミングで学域を決めていましたが、
「入学時から、自分の興味・関心があることは何か考えて、文理選択や進路選択にもつなげてほしい」
という考えから、現在は入学時に学域選択を行っています。
また、入学してすぐの探求の授業では2・3年生による発表会を実施し、研究の進め方や計画について生徒同士で共有・指摘し合う機会も設けています。
先輩の研究を見て学ぶことで、課題研究のイメージを持った状態で高校生活をスタートできる仕組みになっています。

研究テーマの自由度は非常に高く、過去には
「塾に通うための助成金があればよいのではないか」
という問いを立てて研究を行った生徒もいました。
市内の中学校へのアンケート調査や先行研究を重ね、行政関係者に向けて提案を行うところまで取り組み、学校外の場に自分たちの考えを届ける経験につながった事例もあります。
このように地域の課題を自分ごととして捉え、実際の社会に働きかけていく課題解決型の研究も多く見られます。
■ 探究授業の目的・意義
学校としては、課題研究を通して
「思考力」を始め、「表現力」「判断力」「課題解決能力」「協働して取り組む力」などを育てることを生徒に伝えています。

近年は推薦入試の増加により、課題研究を通して培った力を活かし大学合格につながるケースも増えてきました。
おおよそ全員が4年制大学に進学することを前提に、その先で求められる力を高校段階で育てる——
そのための能力育成として、課題研究が位置づけられてきました。
一方で、疋田先生ご自身は学校としての目的である「思考力」に加え、「楽しさ」を大切にしていらっしゃいます。
(疋田先生)「学校のカリキュラムの中で、唯一、自分のやりたいことができるのが課題研究だと思っています。
本来、学ぶことって楽しかったはずなんですよね。
それが、どこかのタイミングで受験や資格のための勉強に偏り、学ぶこと自体が楽しくなくなってしまうことがあります。
この探究は、純粋に学ぶことを楽しいと思ってほしいです」とおっしゃっていました。
■ 大変なこと
最も大変だったのは、昨年度、全学年同時に課題研究の授業を行う体制へ移行した時期でした。
以前は曜日を分けて実施していたため、経験のある教員が複数学年を担当できていました。
良くも悪くもノウハウが一部の教員に集中し、新しく来た先生はノウハウやスキルを身につけにくい状況でしたが、全学年同時実施以降に伴い、向き合わざるを得なくなったそうです。
(疋田先生)「全教員に探究の指導を広げることで、教員間での指導の差などの様々な問題が生じていました。そうなることはある程度予測できており、ここから改善していけばいいと思っています」
この体制になって2年目。
疋田先生は、木曜日の6時間目に校内を一周し、生徒たちの様子や工夫して始動されているのを見て、困ったことがないか等を確認しています。そして、よりよい探究にしていくためにどうするか常に考えています。
■ やりがい
やりがいを感じる瞬間は、発表会で生徒の発表を見ているときだといいます。
(疋田先生)「内容はまだまだなものも多いですが、発表会までにはある程度の完成度で仕上げてくるんです。」
その中でも、完成度の高さよりも、生徒なりに考え、表現しようとする姿そのものに価値を感じています。
今年は、甲子園出場校を予想する研究に取り組んだ生徒もおり、
「その切り口で来るんや」と、思わず驚いたと話されていました。
■ 探究を通じて育てたい力
疋田先生が特に重視しているのは、「行き詰まる経験」です。
「熱意を持って取り組んでいたら行き詰まると思います。そこで考えるから、思考力や課題解決能力が身につくと思っています。
例えば部活動の試合で負けたときに、
なぜ勝てなかったのか、メンタルなのか、スキルなのかを分析するプロセスと、課題研究の思考プロセスは似ていると思っています。」
部活動含めそのようなプロセスを通して、思考力や課題解決力を身につけてほしいと考えているそうです。
■ 「理想の探究」の姿
SSH指定校として、地域への波及も求められていますが、
疋田先生が描く理想は、「キラキラした生徒を増やすこと」です。
それは生徒だけでなく、先生も含めて、です。
この考えの背景には、疋田先生ご自身の原体験があります。
大学院に在籍していた頃、京都の高校で「課題研究」のTAをされていた時のことです。。
その学校の生徒たちは目がキラキラと輝いており、知的好奇心の高さに強い衝撃を受けたといいます。
一方で、母校である岸和田高校にTAとして関わった際には、当時の生徒たちの表情に大きな違いを感じました。
「目が全然キラキラしていない、と感じたんです。(笑)
やらされている感が強くなってしまっているように見えました。」
なぜこんなにも違うのか、その理由は当時ははっきりとは分からなかったものの、
「これは変えたい」という思いが、後に岸和田高校へ配属された際の原動力になったといいます。
現在は、教員もできるだけ興味のある分野を指導できるようにし、科目ではなく「興味」で生徒と関われる体制を整えています。
専門外のテーマであっても、一緒に伴走できる教員がいればよく、必要に応じて大学の先生につなぐこともあります。
また、先生自身も研究ポスターを作成するなど、「先生も楽しむ環境」をつくろうとしています。
■ 今後の展望
現在は、まだ探究の土台づくりと感覚の浸透を進める期間だと捉えているそうです。
ゆくゆくは次の段階として、研究の質を高めていきたいと考えています。
具体的には、調べ学習で終わらせず、
数的処理や統計処理を取り入れることも検討されています。
■インタビューの感想
疋田先生のお話を伺い、学域を選択し、3年間を通して一つのテーマに向き合い続ける探究の在り方は、非常に面白いと感じました。
分野を選び、研究・発表・論文までつなげていく流れは、まさに大学でのゼミ活動に近く、学びに深さが生まれる仕組みだと感じました。短期間で完結する学習ではなく、時間をかけて考え続けるからこそ、思考が積み重なっていくのだと思います。
また、「思考力」や「課題解決能力」の重要性は、私自身、大学のゼミや現在取り組んでいるインターンの中でも求められる場面は非常に多くあります。
そうした力は、座学だけでは身につきにくく、実際に考え、試行錯誤する経験を通して培われるものだと感じています。
だからこそ、高校という早い段階から、生徒が自分で課題を見つけ、考えることを前提とした環境が整えられていることは、本当に素晴らしい取り組みだと感じたインタビューでした。
学校概要|大阪府立岸和田高等学校
住所:岸和田市岸城町10番1号
TEL:072-422-3691
HP:https://www.osaka-c.ed.jp/kishiwada/




