【社労士が語る働きがい創造実例⑦】気兼ねなく取得できるアニバーサリー休暇で従業員満足度向上

今や多くの企業で導入されている「アニバーサリー休暇」。誕生日や結婚記念日など、従業員にとって大切な日に休みが取れる制度です。
プライベートな時間を確保できることでオンとオフの切り替えを促し、仕事へのモチベーションが高められるといわれています。また、会社への帰属意識の向上や、求人募集時における求職者へのPRなど、様々な場面でプラスの効果をもたらしています。
今回は、アニバーサリー休暇を導入して従業員満足度向上につながった実例をご紹介します。

周りの目が気になって有給取得しづらい…|G社の実例

洋菓子の製造販売をしているG社では、以前から年次有給休暇の取得率が低い状態が続いていました。
会社が年次有給休暇を取るよう促しても「業務量が多くて休むと仕事がこなしきれない」「休むと他の人に迷惑がかかる」「周りの目が気になる」という声が多く、取得率はなかなか上がりません。

シフト制で土日も忙しい現場においては、周囲への気遣いから気軽に休める雰囲気ではないとみんなが感じていたため、G社は年間5日の年次有給休暇の付与義務を果たすことも難しい状況でした。
そこで、誰にでも該当する理由で気兼ねなく年次有給休暇が取得できるよう、アニバーサリー休暇の導入を行いました。

アニバーサリー休暇の位置づけは?

一般に「アニバーサリー休暇」といっても、その位置づけは会社によって様々です。法律上、付与が必要な休暇と別にあくまでも福利厚生(特別休暇)として付与する方法もありますが、G社では年次有給休暇を気兼ねなく取得してもらう目的で導入するため、「年に1回、①自分の誕生日、②家族の誕生日、③結婚等の記念日(当日でなくても近い日でも可)のいずれかで必ず年次有給休暇を取得することと」という制度としました。

この場合、法的には「年次有給休暇の計画的付与」といった位置づけになります。年次有給休暇の計画的付与とは、労使協定を締結することで、計画的に年次有給休暇を取得してもらうことができる制度です。

【就業規則への規定と労使協定の締結】

年次有給休暇の計画的付与を行うためには、就業規則にその旨を記載するとともに、労使協定を締結する必要があります。
また労使協定では、適用対象者と日数を定める必要がありますが、G社では年に6日以上の年次有給休暇が付与されている従業員全員が年に1日アニバーサリー休暇を取得することとしました。なぜなら、年次有給休暇の計画付与は従業員自身が自由に取得できる休暇を年に5日は残しておかなければならないためです。

まとめ

仕事のモチベーションを高めるためには「仕事以外の時間」も充実させることが大切です。G社ではアニバーサリー休暇制度を導入し、周囲に気を遣うことなく「記念日」として年次有給休暇を取得してもらうことで、従業員にとって大切な日に休みを取得することができるようになりました。また、会社にとっても年次有給休暇の取得率の向上を進めることができました。
近年は求職者もワークライフバランスを重視して企業を選ぶ傾向が強いため、「アニバーサリー休暇」は、今後の求人募集においても従業員を大切にしている会社としてアピールポイントになるでしょう。

この記事を書いたのは…

社会保険労務士法人さくら労務コンサルティング 代表社会保険労務士
岩 井 真 規

医療業界、建設業、飲食業、小売業、美容業など幅広い業界に精通し、会社顧問として人事労務について指導を行う一方、個人年金の相談業務や手続も行う。得意分野は就業規則の作成等労務管理についてのコンサルティング。幅広い知識と経験に基づき各種団体のセミナー講師経験多数。

所属
大阪府社会保険労務士会 (平成15年9月登録)

経歴
淀川労働基準監督署 臨時労働保険相談員・通勤災害調査員
公共職業訓練校 社会保険実務 講師
大原法律簿記専門学校、LEC社会人セミナー 講師
全国社会保険労務士会連合会 事務指定講習 講師
近畿税理士会他各種団体、民間企業セミナーにおける講師経験多数

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