こんにちは!Pleasure Support株式会社の学生スタッフ横井です。
今回は「働きがい」をテーマに、社会福祉法人こだま福祉会 理事・ヤオヨロズヤ事業所長 増田 靖様にお話を伺いました。
社会福祉法人こだま福祉会ヤオヨロズヤ様とは?
社会福祉法人こだま福祉会が運営する「ヤオヨロズヤ」では、就労継続支援B型と就労移行支援を中心に、多様な人々の“働く”を支える場をつくっています。
その中でも特にユニークなのが、「まちかどステーション八百萬屋(やおよろずや)」です。
八百屋さんとよろず相談屋さんが一つになったような存在で、地域の誰もが気軽に立ち寄れ、困ったときには頼れる“まちの味方”として親しまれています。

この八百萬屋では、就労支援の一環として、コミュニティカフェの運営や野菜の栽培・販売、地域を巻き込んだイベントの企画・実施など、さまざまな活動を展開中。
利用者さん一人ひとりが地域とのつながりを感じながら、自分らしい働き方を見つけられるように、あたたかく丁寧にサポートしています。
まちの一角にあるこのステーションには、“誰かを想うやさしさ”と“生きる力を育む環境”がぎゅっと詰まっています。
今回インタビューにご協力いただいたのは・・・
今回インタビューにご協力いただいたのは、社会福祉法人こだま福祉会 理事・ヤオヨロズヤ事業所長 増田 靖様です。

現在、社会福祉法人を立ち上げ、まちに寄り添う福祉の拠点を運営する増田様。
実は、最初から福祉の道を歩まれていたわけではありません。
かつては繊維会社に勤めるサラリーマンとして働いていた増田様。
そんな日々に転機が訪れたのは、2000年のこと――。
介護保険法が施行されたそのとき、「介護保険って、いったい何だろう?」という素朴な疑問が、増田様の心に芽生えました。
もともと子どもが好きで、人と関わることが好きだった増田様は、次第に“人のために働く”という生き方に惹かれていきます。
そして勤めた会社を辞め、福祉の世界へと一歩を踏み出すことに。
特色豊かな人材
まちかどステーション八百萬屋は、他の事業所とは一線を画す特徴を持っています。それは、スタッフの多くが福祉業界出身ではなく、個人作家やインスタグラマー、生協の元店長など、さまざまな業種・バックグラウンドを持つ人々で構成されている点です。この多様性が、考え方や感性を豊かにし、柔軟な対応力を生んでいます。
「なぜ他業種の方が多いのか?」と尋ねると増田様はこう答えました。
「福祉の仕事は、さまざまな視点やアプローチが必要だからです。柔軟な考え方が求められる中で、異なる分野の経験を持つ人々が集まることで、より多角的に問題を解決できます」とのことでした。
この柔軟性こそが、まちかどステーション八百萬屋の最大の強みであり、地域の福祉事業をより豊かにしていく鍵だと感じました。

「森のキッチン」26年の福祉の歩みが実を結んだ“集大成”
増田様に「これまでの活動の中で、特に印象的なエピソードはありますか?」とお尋ねしたところ、
「『森のキッチン』は、私たちが26年間にわたって積み重ねてきた福祉の歩みの“集大成”ともいえる場所です」と語ってくださいました。
舞台は、人口80万人を超える政令指定都市・堺市。
その中心である市役所内に、障害者施設が入り込み、市と直接連携しながら運営を担う——。これまでに例のないチャレンジでした。
決して平坦な道のりではありませんでした。
「本当にできるのか?」という不安の声や根強い偏見や差別も、確かに存在していました。
それでも私たちは、一歩ずつ丁寧に、確実に、信頼を築き上げていきました。
その結果として形になったのが、「森のキッチン」です。
今、そこには変化があります。
これまで“支援される側”だった子どもたちが、誇りをもって“働く側”になっている。
市役所を訪れる市民のあたたかな視線、ねぎらいの言葉、感謝の声。そのすべてが、働く彼らの表情に自信と輝きをもたらしています。
そして今、私たちはこの成功体験を“地域”の中に広げていこうとしています。
障害のある方が特別扱いされるのではなく、地域の一員としてあたりまえに働く。
そんな社会を実現するために、「森のキッチン」が示した希望を、次のフィールドへとつないでいきたい、そう語ってくださいました。
働きがいについてインタビュー
増田様が語る「働きがい」とは、単に与えられた業務をこなすことではありません。
それは、自分の心がどれだけ動くか——そこにこそ本質があります。
たとえば、仕事の中で感じる「楽しい」という感情。思わず胸が高鳴るようなわくわく感。
そして、「やってみたい」と自然に湧き上がる気持ち。
こうした瞬間の積み重ねが、働くことそのものに意味を与え、日々の原動力となると増田様は話します。
内側から湧き出るモチベーションが、仕事への情熱を育み、本当の意味での「働きがい」をつくっていく。
その言葉には、誰もが共感できる力強さと、仕事に向き合う新たな視点が込められていました。
今後の展望
障害のある方と一般の人が同じ職場で働く――それが当たり前になる社会を、増田様は目指しています。福祉制度がまだ整備される前、未来を切り開くために、B型やA型施設とは異なる形で、町の中で新たな雇用の場が生まれ、障害者も地域社会で働ける環境が広がってきています。
医療的ケアや命に関わる支援が必要な方々には、福祉や医療のサポートが欠かせませんが、それでも地域での雇用創出が進むことで、障害者の働く場は着実に増えています。
働くことは「暮らす」こと。誰もが幸せに生きる社会へ
さらに、こうした雇用の増加は、日本の伝統産業や農業における人手不足の解消にも貢献しています。日本が豊かで安定した社会を築くためには、雇用の創出と共に、自給率を高め、経済を回すことが不可欠です。また、環境問題への取り組みも重要です。
利益を追い求めるだけの働き方ではなく、
“誰かの役に立ち、日々を心地よく生きるために働く”という本質的な価値観が、今求められているのではないでしょうか。
福祉の枠を超えて、「誰もが地域の中で生き生きと働ける社会」をつくっていきたい。
それが、すべての人の幸せにつながる――そう信じて日々取り組まれているようです。
インタビューを通して学んだこと
今回のインタビューを通して、社会福祉法人こだま福祉会様の取り組みから多くの学びを得ることができました。福祉の枠を超えて、地域全体をデザインし、障害者と一般の人が共に働く社会を築こうとする姿勢は感動的です。
特に、「働きがい」を楽しむこと、心が動かされること、そして自分のやりたいことに従うという理念が、皆さんや私にも深い共感を呼び起こします。また、福祉事業だけにとどまらず、地域の産業や環境問題にも目を向け、持続可能な社会を作り出すという視点が新鮮で、非常に重要なメッセージだと感じました。
そして多様なバックグラウンドを持つスタッフが集まり、柔軟な考え方で地域の問題を解決していく姿勢は、まさに今の時代に必要な力強さです。増田様のような想いの強い人がきっかけで、地域をより良く変えていくことができると確信しました。
会社概要|社会福祉法人こだま福祉会ヤオヨロズヤ様
本社:大阪府堺市南区槇塚台3丁1−7
TEL:072-289-7139
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