こんにちは!Pleasure Support株式会社 学生スタッフの赤星と申します。
この度、大阪国際高等学校で探究学習を担当されている 今井亮輔先生 にお話を伺いました。
本記事を通して、高校における探究・課題研究のリアルや、その背景にある先生の想いを感じていただければ幸いです。

■ 現在どのような探究活動を担当されていますか?
同校では、全学年を対象とした総合的な探究活動が行われています。
今井先生は、その総合探究を軸にしながら活動しています。
今年度、新たに「探究部」が立ち上がりました。
昨年度までは外部業者に探究活動を委託していましたが、「学校として独自の探究をつくっていきたい」という思いから、校内で探究部を組織することになったそうです。
探究部では、地域連携を軸にした探究を進めています。
企業や大学を開拓し、そこが抱えている課題に対して、生徒が解決策を考えていくスタイルで、今井先生は「大学のゼミに近いイメージ」だと話します。
例えば、生命保険会社と連携した探究では、
経済・保険・社会といったテーマを入り口に、「分からないこと」「違和感」「課題」を見つけ、そこから社会課題の解決につなげていく活動が行われています。
■ この探究はどのような生徒が対象ですか?
対象は全学年です。
1学年は約440名、国際バカロレアコースを除く13クラスという規模で探究が行われています。
縦割りで活動する場面も多く、学年を越えた協働が特徴の一つです。
今井先生は、「課題を自分ゴト化にするためには、他者との協働が必要だ」と考えています。
コミュニケーションを取りながら課題を解決する経験そのものが、探究の大切な要素だと捉えられていました。
■ 探究授業の目的・意義をどのように捉えていますか?
同校では、2年次に「志論文」を執筆し、その後に「立志式」が行われます。
探究は、その一連の流れと強く結びついています。
探究を通して、自分自身を振り返り、社会との関係性を知ることで、「将来、自分は何ができるのか」を考えること。
これらにつなげていくことが、大きな目的の一つです。

今井先生ご自身は、「ワクワクすることを見つける」のを探究の目的としています。
(今井先生)「仕事の全てが面白いわけじゃないです。でも、大人もこういうことができたら楽しいのにって思いながら生きている人もいます。生徒にもそれを見つけてほしいですね。」
その思いから、今回のゼミ形式の探究では、
教員も「どのテーマに関わりたいか」を選んでいます。
今井先生は、教員になって最初に配属された企画部で、
「生徒の心に響けばOK」という条件だけが与えられたイベントづくりを経験しました。
そこから、少しずつ外部の人とつながりながら企画を進めたその経験が、今の探究にも大きく影響しているそうです。
■ 大変なこと
(今井先生)「基本的に国語の主任の方が大変です。探究は大変な面もありますが、楽しいが勝ちます。様々な企業の方々の名刺を持っている教員はレアなので、それは面白いですね(笑)」
探究の中では
探究部は6名で構成されていますが、実際に関わる教員は約100名にのぼります。
「6人から100人に伝える」難しさは、常に感じているといいます。
細かなニュアンスまで伝わらないこともありますし、
生徒の実行はトライ&エラーの連続で正解がない分、非常に面白いそうです。
具体例として挙げられたのが、マラウィ支援の探究です。
NPO団体と連携し、
マラウィのコーヒーを仕入れて文化祭で販売し、その売り上げを現地の給食費に充てる活動を行いました。
この活動は、次第に縦割りで引き継がれるようになり、
上級生が下級生に教える「ゼミの先輩・後輩」のような関係が自然と生まれていったそうです。
■ やりがい
今井先生がやりがいを感じるのは、
「一人の人生に影響を与えられた」と感じる瞬間です。
担任をしていた頃、海外に強い興味を持つ生徒がいました。
カンボジア留学を経験し、教育分野にも関心を持っていた一方で、進路では関関同立や国公立大学を志望していました。
そのとき今井先生は、
「せっかく海外に行ってやりたいことがあるなら、それを本当に実行できる大学を探してみたら?」
と声をかけました。
実際に大学を見に行った結果、その生徒はICUへの進学を決意。
「紹介していなかったら、行くことはなかったと思う。良いか悪いかは分からないけれど、一人の人生に影響があったことは確かです」と振り返られていました。
このようなことが、正解がない探究学習では今後数多くあるだろうとおっしゃっていました。
■ 探究を通じて身につけてほしい力
今井先生が最も大切にしているのは、「個性を認める力」です。
「出る杭は打たれる」という空気があると、無難な人間しか育たなくなってしまう。
だからこそ、教室の中で個性が認められる環境をつくることが重要だと考えています。

実際、探究の場では、
個性が強すぎて浮いてしまいそうな生徒でも、
「面白い」「話を聞きたい」と自然に受け入れられる場面が多いそうです。
今井先生ご自身も、
「自分の変わっている部分をどんどん見せる」ことを意識していると話します。
進路を切り開いていく生徒は、個性が強いことが多い。
だからこそ、その個性が潰されない環境を整えることが、探究の役割だと感じてきたそうです。
■ 「理想の探究」の姿
今井先生が描く理想の探究は、「教員がやることがない探究」です。
最初は「何でもやっていいよ」と言われても、生徒は戸惑います。
しかし、自分で面白いことを見つけて動き始めると、
「自分でやっているから、邪魔しないでほしい」という状態に変わっていくといいます。
教員は教えるのではなく、つなぐ存在になる。
いなくても回るくらいが、理想的な探究だと語っていました。
■ 今後の展望
来年度からは、本格的に縦割りの探究活動を進めていく予定です。
縦のつながりが増えていくことで、
自然と生徒同士が教え合い、引き継ぎ、探究が回っていく。
そうなれば、教員の役割はさらに小さくなっていくはずだと今井先生は話します。
「その状態になったら、探究はかなり面白くなっていると思います。」
■インタビューの感想
今井先生のお話を通して、探究学習が持つ可能性の大きさを改めて感じました。
今後、探究がさらに広がっていけば、生徒自身が「自分の人生に影響を与えた経験だった」と振り返る場面は、より増えていくと考えています。
同時に、先生方にとっても「関わってよかった」と実感できる瞬間が増えていくのだと思います。
そう考えると、探究にはまだまだ多くの魅力と可能性が詰まっていると感じました。
また、「個性を認める力」を大切にされている点は非常に共感しました。
私自身、大学のゼミを通して、個性を認め合える環境がどれほど学びを深めるかを実感してきました。
そのため、高校という早い段階から、そうした環境を意識的につくろうとしている先生がいることに、正直少し羨ましさもあります。
今井先生の取り組みは、その土台づくりを丁寧に積み重ねている実践だと感じました。
学校概要|大阪国際高等学校
住所:大阪府守口市松下町1番28号
TEL:06-6992-5931
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