こんにちは!Pleasure Support株式会社 学生スタッフの赤星と申します。
この度、常葉大学附属橘高等学校 武田皓希 先生に探究学習についてインタビューを行いました。
本記事を通して、高校における探究・課題研究のリアルや、その背景にある先生の想いを感じていただければ幸いです。

■現在どのような探究活動を担当されていますか?
武田先生は、広報業務と並行して、探究活動「TPR(Tachibana Pioneers for the Region)」プロジェクトを担当されています。
国語科の授業も受け持ちながら、探究と広報という二つの役割を担っており、「探究も広報も、自分にとっては本当に好きなことが仕事になっている感覚があります」と語ります。
TPRは「地域とともに学び、地域に関心を持ち、地域の発展を考えながら、その中で自分自身も成長していく」ことをコンセプトにした総合探究学習です。
最終的には、生徒一人ひとりが地域のパイオニア(先駆者)として、自分なりの形で社会に関わっていける存在になることを目指しています。
探究の中では、5Cスキル(Choice・Communication・Challenge・Co-production・Contribution)を年間の成長指標として設定し、生徒自身が「一年間で自分はどれだけ成長できたか」を振り返れるような設計をされています。
探究は20前後のプロジェクトに分かれており、生徒は自分の興味・関心をもとにプロジェクトを選択します。
■探究授業の目的・意義をどのように捉えているのか?
学校として大切にしている探究の目的は、大きく二つあります。
一つ目は、5Cスキルを伸ばすこと。
二つ目は、Inspire Highを通して測定しているウェルビーイングの状態を高めること。
社会の中で自分の力を発揮できたという実感(自己効力感)を育てることです。
武田先生は、「何をもって探究ができたと言えるのかは本当に難しい」と前置きしながらも、
「課題解決をしているかどうかだけが探究ではない」と語ります。
「正直に言えば、うちの探究は、地域課題を深く解決しているわけではありません。でも、生徒が変わっている、生徒の声がある、生徒の姿がある。それが見えるなら、それは十分探究だと思っています。」
また、偏差値や学校文化によって、取り組める探究の深さには差があることも現実として受け止めています。
理想論だけで語らず、今の生徒たちにとって背伸びしすぎず、確実に成長できる探究活動をしている様子が伺えました。
■企業連携によって生まれるもの
本校は、外部団体に頼るのではなく、あくまで自社開発(自校での開発)による探究学習にこだわっています。
学校と協力企業が直接つながることで、その熱量を生徒に直接伝えることができますし、企業が次の企業を繋いでくれるといった想いの連鎖こそが、生徒の成長に繋がると考えているからです。
そのため協力してくださっているすべての企業とやり取りする必要が生まれてくる・・
それは大変ですが、そこを逆手にとって企業の皆さんと仲良くすることで生徒を一緒に育ててもらうことに、より前向きになってもらえると考えています。

■やりがい
武田先生がやりがいを感じるのは、大変さはあるものの、生徒が「良かった」「成長した」と実感してくれることだと話されていました。
探究と広報を同じ人間が担うことで、活動の様子を発信し、それが新たな出会いや機会につながる。
今年度はその流れが少しずつ形になり、探究活動をInstagramで発信していく中で、地元テレビ局が主催する、静岡市の中心街で開催された高校生が中心の大文化祭をコンセプトとするイベント「青春SPARK祭」への参画が決まるなど、新たな展開も生まれました。
「生徒が輝く場を一つでも増やしたい。そのために自分は広報と探究を頑張ろうと思うようになりました。」
■探究を通じて学生にどのような力をつけてもらいたいか
武田先生が探究を通じて育てたいと考えている力は、次のようなものです。
・多様な価値観に触れることで広がる視野
・自分の強みや個性を理解する力
・自分の行動が社会に影響を与えうるという実感(自己効力感)
・大人と関わり、提案し、実行し、反応を受け取るコミュニケーション力
これらはすべて、「楽しく生きていくために本当に必要な力」だと考えています。

■「理想の探究」の姿
武田先生が描く理想の探究は、学生が自分の手で社会を動かしたという感覚がある探究です。
生徒が学校の外に出て、地域や企業とともに何かをつくり上げる。
大人と本気で関わり、自分の手で社会を少し動かしたと感じられる。
青春SPARK祭で、高校生実行委員が4か月間かけてSNS広報から台本づくり、企業連携、当日の運営までをやり切り、最後に涙を流す姿を見たとき、やってよかったと強く感じたそうです。
■今後の展望
今後は、さらに外とつながる学びを増やしていきたいと考えています。
企業や地域と一緒に取り組むほど、生徒の成長スピードと深さが変わる手応えがあるからだそうです。
そのため、学校が守っている中でプレッシャーを与える「安全なピンチ」をより多く作っていきたいと語っていました。
また、武田先生ご自身が異動したとしても続いていく、自走型の探究を構築することも大きな目標です。
高校生が、家族や先生以外の「第三の大人」と出会い、社会との接点を持ちながら成長していく環境を、これからも広げていきたいと語られていました。
■インタビューの感想
お話を通して特に印象に残ったのは、「自己肯定感を高めること」の重要性でした。
自分には何ができるのか、社会の中で自分の行動がどんな影響を与えられるのか、そうした感覚を持てず自信を持ちにくい人が多い今だからこそ、探究を通して「自分はやれるかもしれない」と感じられる経験を積むことは、とても意味のあることだと感じました。
また、広報と探究学習を同時に担うという武田先生独自のポジションにも強く惹かれました。
探究の取り組みを外に発信し、その魅力が新たな出会いや機会を生み、再び生徒の挑戦につながっていく。その循環を一人の教員が意識的につくっていることは、とても先進的で、学校の在り方そのものを広げているように感じました。
学校概要|常葉大学附属橘高等学校
住所:静岡県静岡市葵区瀬名2丁目1番1号
TEL:054-261-2256
HP:https://www.tokoha.ac.jp/tachibana-jh/




